オバマに期待していたガザ、その思いは空しく

(師走十日)

 中東情勢は、現地に行ったことのない人や、興味がさほどない人からすると、「あのへんは相変わらず危険だな」くらいの印象しかもたれないかもしれないが、一度でも現地を訪れ、地元の人たちと何らかの交流を持ったことがあると、ニュースを見てもあっさり他人事とは思えなくなる。

 イスラエルがガザを空爆、さらに地上部隊が侵攻したという。

 私が訪れたときも、ちょうどその前日に、停泊していた船がイスラエル軍に攻撃され転覆させられた、港で騒ぎになっていたが、それでも町は平穏だった。検問(国境のようなものだが)を越えたイスラエル側の町も、ガザ側との圧倒的な経済格差は別として、おおむね平穏だった。

 あれから色んな出来事があり、当然同じであるはずはないのだが、今はどうなっているのだろうと思う。

 今回の侵攻、各国がイスラエルに自制を求める中、アメリカだけは侵攻を支持している。ブッシュ政権が残り1ヶ月を切った時点で、今のうちに行動を起こしたという気がしなくもないが、あと数週間で事態が丸く収まるようなこともありえないから、オバマはのっけから難題を突きつけられてしまうことになる。

 以下、以前オーマイニュースに書いた記事を貼り付ける。

  *************

パレスチナ・ガザ地区で支持されるオバマ 〜 アメリカの変革に期待する住民達

 アメリカ大統領選の行方が世界の耳目を集めている。共和党の候補はジョン・マケイン氏で確定したが、民主党の候補者指名はヒラリー・クリントン氏とバラク・オバマ氏との間で、稀に見る熾烈な争いが続いている。

 日本では、福井県の小浜市が同じ名前の縁でオバマ氏を応援しているという平和なニュースが、ロイターやCNNなど外国メディアまで巻き込んで注目を浴びたが、一方で、全く別の観点から、オバマを支持している人たちがいる。

 イスラエルとの対立が続くパレスチナのガザ地区に住む青年たちである。

 この意外なニュースを伝えるのは、中東カタールに本拠を置く衛星テレビ、アルジャジーラ(英語版)だ。動画サイトのYouTube(ユーチューブ)に設置された専用サイトで「Gaza's Obama campaign」と題された動画を見ることができる。

 動画の中では、パレスチナの青年がオバマについて次のように語っている。
 「彼はアメリカの内部を変えられるかもしれない。そして中東に平和をもたらしてくれると期待しているんだ」

 青年はその具体的な理由についてはあまり述べていなかったが、オバマが一貫してイラク戦争に反対していたこと、そして父方の祖先がケニア人であり、イスラム教徒の血を引いていることが、期待感の底にはあるのだろう。

 WASPという言葉に示されるように、建国以来アメリカは、ホワイト・アングロサクソン・プロテスタントが主流の国であり、もしオバマが大統領となれば、その歴史は大きな転換を迎えることになる。

 対イスラエル強硬派組織のハマスが2007年6月に武力占拠で実権を握り、イスラエルとの戦争状態が続くガザ地区は、中東の困難さの象徴でもある。私がガザ地区を訪れたのは、9.11事件から数ヶ月後、イラク戦争が始まる1年以上前のことだが、イスラエル軍の攻撃によってガザ地区の船舶が転覆させられている光景を見た。

 当時と比べ、彼らを包む閉塞感は何も好転していない。そしてパレスチナの人々は、イスラエルの背後に世界最強のアメリカがいるから、自分たちは苦杯をなめ続けているのだと考えている。

 動画ニュースの最後に、「さらばブッシュ。お前がいなくなってせいせいするぜ」と壁にペンキで描く男性の姿が映し出されていた。ジョージ・ブッシュ現大統領への憎しみの反動もまた、オバマへの期待となって表れているのだろうか。

 

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