バナナ共和国襲来

(長月八日)

 弟がうちに遊びに来たときの話。

 私の妻はデザイン関係の仕事をしている。私はその方面にまったく疎いので詳しくないが、とあるブランドのシャツの図柄なんかを描いている。実際に売れた図柄は、生地になり商品化されて、カタログにも掲載される。

 そのカタログを、妻がわざわざ持ち出してきて、弟に見せた。

 私は驚いた。妻はあまり仕事の話を他人にしたがるタイプと思っていなかったし、第一私はそんなカタログをほとんど見せてもらったことがなかったからだ。

 そう言うと、「どうせ興味ないやろ」とつれない返事。しかし、私はそこで再び驚いた。

 私は弟だって「興味ない部類の人間」という認識でいたのだが、妻いわく「一目見て、あんたとは違う」とのこと。そして、彼女の言葉通り、弟本人は渡されたカタログをしげしげと眺め、私にはちんぷんかんぷんなブランド名を交えながら会話を成立させているではないか。

 彼の着ているシャツもまた、バナなんとかリパブリックというそれなりのブランドらしい。バナ? バナナ?

「お前もそんなん知らんもんな」
 仕方なく、一歳児の長男に同意を求める私。

「まめ〜」
 されど、貰い物を中心に案外ブランド品持ちの長男。母親の影響で「あっち側」の人間に育つ可能性は高い。

 しばし疎外感を感じるのであった。

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